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INA SolarとCaeluxの3GW提携が示す、シリコンにペロブスカイトを重ねる現実路線

INA SolarとCaeluxの3GW提携が示す、シリコンにペロブスカイトを重ねる現実路線のイメージ

ニュースの概要

インドの太陽電池メーカーInsolation Energy(INA Solar)が、米国のCaeluxと5年間の戦略提携を結んだ。目的は、ペロブスカイトを使った高効率モジュールの商用化である。INA Solarが持つN型TOPConシリコンセルの上に、Caeluxの発電ガラスを重ねる「ハイブリッド・タンデム」方式を採る。対象規模は合計3ギガワット。2028年までにモジュールの変換効率29%を目指すという。ペロブスカイト単体で市場に挑むのではなく、すでに量産できているシリコンの上に載せて性能を引き上げる点が、今回の提携の特徴である。

引用元: INA Solar、Caeluxと3ギガワット規模のペロブスカイト・タンデム事業で提携(ANI News)

分析・見解

29%という目標は、シリコン単体の壁を越える数字

現在、量産されているTOPCon(=シリコンセルの主流方式)モジュールの変換効率は、実用品でおおむね22〜24%前後にとどまる。シリコン単体の理論上限は約29%とされ、そこに近づくほど改良の余地は小さくなる。

今回掲げられた29%は、シリコンだけでは届きにくい水準である。ここにペロブスカイトを重ねると、青い光はペロブスカイトが、赤い光はシリコンが受け持つ分業ができる。同じ面積から取り出せる電気が増えるのは、この役割分担のおかげだ。

ガラスを後から重ねる方式の強みと弱み

Caeluxの発想は、ペロブスカイトをセルの一部として作り込むのではなく、薄い発電ガラスとして別に作り、モジュールの組み立て工程で重ねる点にある。既存の生産ラインを大きく変えずに済むので、工場側の投資負担は小さい。

一方で、弱みもある。ペロブスカイトは水分や熱に弱く、屋外で二十年以上の寿命を保証できるかは、まだ実証の途上にある。ガラスで封止(=空気や水を遮断すること)する設計は有利だが、長期の実績が積まれるまでは、保証期間と保険料が普及の足かせになりやすい。

インドが製造拠点として動く背景

インドは国内生産を優遇する政策を進め、モジュール製造能力を急速に増やしている。ただし、現状は中国製の部材への依存が高い。差別化の手がかりを探す国内メーカーにとって、米国発の新技術と組むことは、価格競争から一歩抜け出す手段になる。

類似の動きは欧州にもある。オックスフォードPVは、タンデムセルの量産を先行して始めた。つまり、タンデム化はもはや研究室の話ではなく、量産の主導権争いの段階に入っている。

3GWは大きいが、条件付きの数字として読む

3ギガワットという規模は、住宅用なら数十万戸分の屋根に相当する。ただし、これは「提携で目指す枠」であり、確定した出荷計画ではない。

見るべきは、2027年ごろに出てくる試作品の第三者認証と、初期ロットの歩留まり(=良品の割合)である。ここで躓かなければ、2028年の目標は現実味を帯びる。逆に、耐久試験で想定より劣化が出れば、時期は後ろにずれるだろう。

ビジネスへの影響

日本の太陽光事業者が今のうちに確認すべき点

日本は、フィルム型ペロブスカイトの開発で先行してきた。しかし、今回のようなシリコン併用型は、設置場所が限られる軽量フィルム型とは用途が違う。屋根や野立ての大規模案件では、既存のパネルと同じ寸法で置き換えられるタンデム型のほうが、導入の手間は少ない。

調達担当者は、効率の数字だけでなく、劣化率の保証、封止方式、認証の取得状況を比べる必要がある。カタログ値が高くても、保証が短ければ、二十年での総発電量では不利になる。

設備投資と価格交渉への使い方

タンデム型が出回れば、同じ面積で発電量が増える。屋根の面積に限りがある工場や物流倉庫では、設置容量あたりの土地費や架台費が下がり、投資回収が早まる可能性がある。

ただし、初期のタンデム型は割高になる見込みだ。そこで、現行のTOPCon製品を入札に出す際は、数年後の入れ替えを想定した契約にしておくとよい。納期や価格の交渉でも、「次世代品が控えている」という事実は、買い手に有利な材料になる。

提携型の戦略から学べること

INA Solarの動きは、すべてを自社で開発せず、強みの異なる相手と組む教訓を示している。自社は量産と品質管理、相手は新材料という分担である。日本の部材メーカーや装置メーカーも、完成品を狙うより、封止材や検査装置といった支える側で役割を持つほうが、成長市場に早く入れる。

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